1. はじめに
通常、企業でMacを購入する際には、販売店(または販売代理店)がApple Business Manager(以下、ABM)に該当のMacを企業IDにひもづけて登録するのが一般的です。
この登録により、デバイスは自動的にABMに追加され、MDM(モバイルデバイス管理)ツールと連携して初期設定やポリシーの適用がスムーズに行えるようになります。
しかし実際には、以下のようなケースも少なくありません。
- 販売店側の手違いでABM登録が漏れていた場合
- 中古品や個人購入品など、販売経路がABMに対応していない場合
このページでは、そうした状況に対応するために、iPhoneやiPadをApple Configuratorを使って手動でABMに登録する方法を、IT管理者(情シス)向けに詳しく解説します。
MacのABM手動登録方法の記事も記載しています。よければ確認ください!!

本記事で紹介する「手動登録」は、購入時にABMに登録されていないMacを後からABMに追加する方法です。
20分程度で読めるようにしていますが、とてつもなく長いです!!お時間に余裕を持ってお読みいただくことを推奨しますw
2. Apple Business Manager(ABM)とは?
Apple Business Manager(以下、ABM)は、企業や組織がApple製品(Mac、iPhone、iPad など)を一括で管理・運用するためのApple公式の管理ポータルです。
主な機能は以下のとおりです。
- デバイスの自動登録(ABM登録)
- 新しいApple製品を自動でMDM(モバイルデバイス管理)ツールに自動登録できます
- MDM(モバイルデバイス管理)ツールと連携することにより、自動構成やセキュリティポリシーの一括適用が可能となります
※MDM(モバイルデバイス管理)ツール側での一括適用の設定等実施する必要があります
- Appやブックの一括購入と配信
- 法人向けにApp Storeアプリをまとめて購入し、各端末に配信できます
- ユーザーと役割の管理
- 管理対象Apple Account発行や削除、それに付随して役割を割り当て、社内でのアカウント管理が可能になります
参考資料:Apple Business Managerの概要

自動で設定されたり、セキュリティポリシーが一括で反映されるっていうのは、いわゆる「ゼロタッチキッティング」ってやつですね!
要するに、あらかじめクラウド(場合によってはオンプレミス)に登録されてる情報をもとに、Macが自動で会社用にセットアップされる仕組みです。
これ、現場での作業がめちゃくちゃ減って、業務効率化にはかなり効果的なんですよ!
3. 事前準備
登録作業をスムーズに進めるために、以下を準備してください。
- 初期化済みのiPhoneやiPad
- これからABMに登録しようとしているiPhoneやiPadを一度初期化する必要があります
- ABMで登録されている企業用Apple Account
- Apple Accountの権限は、「デバイス登録マネージャ」以上であれば問題ありません
※詳しくは、Apple Business Managerでの役割と権限について(Apple公式)を確認してください
- Apple Accountの権限は、「デバイス登録マネージャ」以上であれば問題ありません
- Apple ConfiguratorアプリがインストールされたiPhone
- ABMで登録されている企業用Apple Accountでサインインを事前にしてください
※詳しくは、iPhone用Apple Configuratorでサインインする(Apple公式)を確認してください
- ABMで登録されている企業用Apple Accountでサインインを事前にしてください
- 安定したWi-Fi環境
- iPhoneはWi-Fiに繋いでおいてください

Apple Configuratorにサインインしたときに、「ネットワーク構成」や「MDMサーバー割り当て」って項目が出てきて、
「え、これどれ選べばいいの?」ってちょっと戸惑うかもしれません。
MDMの設定次第ではあるんですが、基本的には以下の設定にしておくのが無難です!
ネットワーク構成 → Wi-Fiを共有
MDMサーバー割り当て → デフォルト
※もしMDMサーバーを複数使ってるよって方は、「指定」を選べば割り当て先を選べます!
4. 始める前に知っておきたいポイント
作業を始める前に、以下のポイントは把握しておきましょう。必要に応じて、確認が必要なケースもあると思います。
- 手動登録の要件
- 追加するデバイスおよび対応している最小システム要件:iOS 16 〜、iPadOS 16 〜
- Apple ConfiguratorがインストールされているiPhoneの最小システム要件:iOS 16 〜
- 登録するMacは初期化されている必要がある
- すでに違うABMに登録されているMacは登録できません
- 登録されているABMから一旦解除すれば再登録可能
- ABMへの登録には、企業用Apple Accountが必要
- 内容は本ページ「事前準備」の項目で解説しています
- Apple Configuratorアプリを入れたiPhoneが必要
- 内容は本ページ「事前準備」の項目で解説しています
5. 手動登録手順
以下の手順に沿って登録をしてください。
- ABMに追加するデバイスのiPhoneやiPadが初期化されているか確認
- 初期化されていない場合は、初期化を実施
- ABMに追加するデバイスのiPhoneやiPadの電源をオフにする
- 登録作業用iPhoneでApple Configuratorを起動
- ABMに追加するデバイスのiPhoneやiPadを起動
- 設定アシスタントの「Wi-Fiネットワークを選択」の画面が出たところで操作をストップ
※それ以降に進んでしまった場合はMacを再起動し、設定アシスタントをやりなおす
- 設定アシスタントの「Wi-Fiネットワークを選択」の画面が出たところで操作をストップ
- 登録作業用iPhone側でネットワーク構成を共有
※Apple ConfiguratorアプリがApple Accountにサインインされていること前提- Apple Configuratorアプリを開く
- 左下の歯車アイコンをタップ
- 「ネットワーク構成を共有する」と「デフォルト」を選択
- 左上の「完了」をタップ
- ABMに追加するデバイスのiPhoneやiPadとのペアリング
- 登録作業用iPhoneをABMに追加するデバイスのiPhoneやiPadに近づけ、設定アシスタントに表示されるイメージをスキャンします。
※この時点で、ABMに追加するデバイスのiPhoneやiPadのシリアル番号などがABMに登録される
- 登録作業用iPhoneをABMに追加するデバイスのiPhoneやiPadに近づけ、設定アシスタントに表示されるイメージをスキャンします。
- 処理が終わったら「システム終了」をタップ
- 必要に応じてMDMサーバーに割り当てを行う
- 自動でMDMサーバに割り当てる設定にしていない場合は、ABMを開き、対象のiPhoneやiPadのシリアル番号で検索後MDMサーバーの割り当て作業を行う
※自動MDMサーバ割り当てをしているいないに関わらず、割り当てサーバーが正しいか確認
- 自動でMDMサーバに割り当てる設定にしていない場合は、ABMを開き、対象のiPhoneやiPadのシリアル番号で検索後MDMサーバーの割り当て作業を行う
参考資料:iPhone用Apple Configuratorを使用して新品のMacを追加する

この手順の中でつまずきがちなのが、手順6の「ABMに追加するデバイスのiPhoneやiPadとのペアリング」なんですよね。
「え、画面出てこないんだけど…?」ってなること、よくあります。
そんなときは、まず以下を試してみてください!
- ABMに追加するデバイスのiPhoneやiPadを一回再起動してみる
- 登録作業用iPhoneも念のため再起動
- Apple Configuratorアプリのバージョンが最新か確認して、必要ならアップデート
- 登録作業用iPhoneのiOS自体も古い場合はアップデートしておきましょう!
- 上記をやっても出ない場合は、ABMに追加するデバイスのiPhoneやiPadをもう一度初期化しましょう!
6. 手動登録中によくあること
本ページを実施中に、よくあるつまづきポイントを以下にまとめます。
- サインインしたのに、登録作業用iPhoneでサインイン画面が表示される
- Apple Accountのサインイン情報がタイムアウトしている可能性があります。再度、サインインしてください。
おわりに
今回は、Apple Business Manager(ABM)へのiPhoneやiPadの手動登録方法をご紹介しました。
最初は少し手順が多く感じるかもしれませんが、慣れてしまえばスムーズに進められるようになります!
特にペアリングのあたりで詰まりやすいので、「出てこない!」と思ったら、ぜひご紹介したチェックポイントを試してみてくださいね。
それでは、この記事がみなさんの作業の参考になれば嬉しいです!
もし「ここもうちょっと詳しく知りたい」などあれば、気軽にコメントやフィードバックください!